プラスチックの
これまでとこれから

番外編:ごみリサイクル率12年連続日本一
   鹿児島県大崎町の視察

町をあげてのリサイクルへの取組み

都会ではごみの焼却が当たり前であり、日本は世界の中で群を抜いて焼却炉の数が多く、世界中の焼却炉の半数は日本にあると言われています。環境省資料(2021年)によると日本の焼却炉数は1067であり、ごみのリサイクル率は20%に満ちません。人口50万人以上の都市で最もリサイクル率が高いのが千葉市ですが、それでも30%にすぎません。日本のごみリサイクル率の低さの原因は、燃やせるごみの4割を占める生ごみを燃やしているからです。

日本一のごみリサイクル率 83.1%(2020年度) を誇る鹿児島県大崎町を視察しました。大崎町は人口13千人余りで、農業が主幹産業です。大崎町には焼却施設がなく、近隣の町と焼却炉を設置することを計画しましたが、焼却炉が高価格であることに加え、維持費による負担も大きいため、見送られました。一方で残余年数が逼迫するごみの埋立処分場を延命化させるため、町をあげてリサイクルの取組むことになりました。取組み前の1998年は埋立ごみ量が4382トンであり、ごみのほとんどが埋立処分されていましたが、2017年には埋立ごみが708トンまで減りました(約84%削減)。

大崎町ではごみの分別が細かく決まっており、当初はシステム構築や町民の教育が大変であったとのことです。今では稼働に乗り、リサイクル率日本一が町民の誇りになっていると感じました。

大崎リサイクルシステム

リサイクル率日本一の鍵は生ごみと農業廃棄物(バイオマス)の堆肥化にあります。これにより発生するごみの半分以上がリサイクルされます。農村部特有のこととはいえ、資源循環に求められる根本を突き付けられた思いでした。堆肥工場で生産される堆肥は農家に安価に販売され、好評を得ています。分別をしっかりとしているため、堆肥中の不純物(プラごみ、金属ごみ)は極めて少ないです。尚、堆肥の生産量が限定されるため、地域外には販売されていません。

生ごみ以外は分別されてリサイクルセンターに運ばれます。再資源化できるものは、手作業を含めて細かく回収されます。プラごみは近隣の製鉄施設に運ばれ、コークス炉にて鉄の生産に利用されています。最終的に残ったごみは埋立処分されます。埋立処分場は通常、一般人が立ち入れないのですが、大崎町では見学させてもらえました。埋立ごみに生ごみが含まれないので悪臭を感じませんでした。

参考までに隣国の韓国のおけるごみの現状をお伝えします。韓国は日本と同様に国土が狭いですが、ごみの焼却率が25%と低いです。韓国では1997年に生ごみの分別が義務化され、2005年にはごみの埋立が禁止されました。2011年からは“スマート生ごみ回収箱”が設置され、生ごみの処分費用が月決めで決済されます。このシステムにより生ごみが大幅に削減され、家庭ごみのリサイクル率は86%に達します。日本でも生ごみを別途回収するシステムを、焼却によるごみ処理と並列できないのでしょうか。今後の資源循環に向けた重要な社会課題になると思われます。

執筆者のご紹介

 宇山 浩(うやま ひろし)教授

大阪大学 工学研究科 応用化学専攻 工学博士

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